海賊国家アトランティアに囚われた姫君プリメーラ・ルナ・アヴィオンの救出に成功した海上自衛隊の江田島五郎一佐と徳島甫二曹。時を同じくして、陸上自衛隊一等陸尉伊丹耀司一行もまた特地へとやってきていた。碧海の平和を取り戻すため、極秘の共同作戦を開始する徳島達。だがそれに対し、アトランティア宰相の石原莞吾は窮地を凌ぐための策を用意していて――?
陸上自衛隊伊丹耀司二等陸尉(現一等陸尉)の活躍により、一度閉ざされた『門(ゲート)』は無事、再開通を果たした。
国際社会における『門』独占の優位性を保持したい日本政府は、自衛隊を動員して特地住民との更なる穏当な関係性を築くべく引き続き政治や地勢の調査に注力する。
海上自衛隊の江田島五郎一等海佐、そして彼の部下であり元凄腕料理人の徳島甫二等海曹の二人も、そんな調査任務を帯びて特地の各国を回っていた。
しかしある時、二人に対して特地碧海に列なる諸島で拉致された米国籍ジャーナリストの奪還に関する特命が令される。
さっそく二人は海上自衛隊おやしお型潜水艦『きたしお』に乗り込み、異世界の海に船出したものの、碧海周辺は列島諸国と海賊とが群雄割拠する混乱の渦中にあった――
累計420万部の大ヒット異世界×自衛隊ファンタジー、待望の新章がついに開幕!
西暦二〇××年夏。東京銀座に突如『異世界への門』が現れた。中から溢れだしたのは、中世ヨーロッパ風の騎士と歩兵、ファンタジーの物語に登場するようなオークやゴブリン、トロルと呼ばれる異形の怪異達だった。
後に『銀座事件』と呼ばれるこの混乱を収め、門の向こう側『特地』へと派遣された自衛隊は、聖地アルヌスを拠点に、敵の実態を把握すべく探索活動に着手。特地が帝国という名の覇権国家によって支配されていることを知る。
日本政府はさっそく帝国との講和に乗り出すが、米・中・露の横やりと、帝国の政変によって幾度となく頓挫の危機を迎える。だが陸自のオタク自衛官伊丹耀司や彼を取り巻く異世界美少女達の活躍により、ついに帝国との間に平和的な交流を約束する講和条約が締結された。
かつてアヴィオン海一帯を治めていたアヴィオン王朝が衰退したことにより、それぞれに独立を果たしたティナエ、ジャビア、ウブッラ、マヌーハム、シーラーフ、サランディプ、ルータバガの七島。目下、島々は海賊の跳梁に頭を抱えていた。
プリメーラ姫のいる『碧海の美しい宝珠ティナエ』も、商業国家という特性ゆえ海賊の横行は深刻で、商業船が海へ出られず民草は著しく疲弊していた。その事態を打開するために、軍事力に劣るティナエはプリメーラの輿入れを条件にシーラーフ海軍の協力を得ようと踏み切る。
だが、ただ海賊を駆逐すればいいかといえば、情勢はそう単純ではなかった。七島統一思想、アヴィオン王政復古派、そして蠢く大国の存在……アヴィオン海を取り巻く数多の思惑と謀略。そんな混沌の海原に、徳島や江田島達海上自衛隊は、今まさに呑み込まれようとしていた——